第1回〜第6回知的サロン梗概

テーマ/日時 発表内容
第1回
元気で豊かなシルバーライフ
平成19年9月19日
(水)15:00〜17:00
「団塊世代の思い」足立隆子氏
 居住地域である神和台の人口年齢構成が大きく高齢者に偏り始め、特に団塊の世代が加わり始めるとその傾向は顕著になる。発表者もその世代の一人であり、高齢者としてひとからげにされるのではなく、団塊の世代の特徴を生かし、神和台の中で高齢者がお互いに助け合う「老老支えあい」のシステムを創設しようと、ワーカーズコレクティブの思想を生かし、活動を始めた。
「私の健康管理と脳の働き」
「手ノヤツコ足ノヽリモノ」小林東生氏

 左脳後方の角回に聞く、見る、触れる、の各感覚野の情報が集まり読み書きができる。これが傷むと失読失書がおきることから学習に係わる場とされ、手足を働かせる仕事をすれば絶えず刺激が夫々に伝わって脳が、心身が活性化する。方丈庵に住み己が手をヤツコ、足をノリモノと呼び四方を歩き回って自活した長明は是が養性(ヤウセイ)になると述べた。ウオーキングは体を鍛える養生だけでなく性もよくなると断言している。
 体験を重視した育て方が大切と昔から言われてきたが、是は脳内の無数の神経回路網の働きで適切な言動を発現する源の間脳(情報調整他)、扁桃体(環境把握・協調・判断他)、海馬(記憶・配分他)の発達を促し社会性などを育てる唯一の方法であるからだ。学習の仕組みの研究は間脳に係わらない嗅覚を使い扁桃体・海馬との相関で解明が進んでいる。
 調理を手伝わせても脳の働きはよくなる。高齢の私は体調に合わせた手足の働きで仕事を行い、会に出ては交流を心がけている。
「日本型食生活」田中智子氏
 日本人の食事も生活の変化とともに、食事内容や食事の方法、調味料や食品の加工方法などで大きく変化してきた。同時に疾病の傾向も変わってきている。厚生省や農林水産省はバランスの良い食事の指針を提示している。栄養バランスの良い食事とはエネルギー比率でタンパク質10〜20%、脂質20〜25%、炭水化物50〜70%といわれ、これは昭和55年頃の実態に近く、最近はどうしても脂質を多くとる傾向であるという。もう一度栄養バランスを見直し、ミネラルやビタミン、植物繊維の摂取量を考慮して日常の食事を考え、健康に過ごしたい。
第2回
教育を考える
平成19年11月21日
(水)15:00〜17:00
「女子大生と女子大学」苗村康弘氏
 わが国では女子の進学率が50%近くに達した中で、その多くは共学校に進学するが、学生が女子学生だけの女子大(大学院を除く)も、大学案内等から集計すると80校弱もあり、そこに在籍する女子大生は、凡そ18万人の多きに上がっている。しかし大学や学生全体でみると、大学数では10%弱、学生数では7%強(女子学生の16%弱)にとどまり、しかも少子化の進む中、最近では女子大から男女共学大へ移行する動きが強まるなど、女子大の勢力はやや縮小気味にあるように思える。しかしながら、女子だけの伸びやかで自由な環境の中で、あまり異性を意識せずに学問や諸活動に打ち込める女子大や女子学生は、ますます貴重な存在になっていくと思われる。
 一方、労働人口の減少や社会の活性化の要請から、公務や教育研究、企業管理職などにおいても、女性の一層の活躍に期待する声が強い。したがって今後、女子大においては、これまで女性の進出の少なかった社会科学や理系分野などにおいて、女子大ならではの視点を強めた教育の展開によって、高齢化や環境問題など、社会ニーズの対応にも強い、優れた女性の人材を輩出して社会に貢献していただきたいと思う。
速水順一郎氏
「子どもと地域」
第3回
地域とその未来
平成20年1月23日
(水)15:00〜17:00
「現在の教育問題について」塩野 勝氏
○はじめに:
 エジプトのパピルスの書かれた文章の中に「最近の若い者は」とあったそうである。こんな言葉を発するのは、私が年を取ってきたからと思いつつ、最近の若者についてまた、その若者を作ってきた現在の教育について、私の思っているところを述べて皆様のご意見を伺いたい。私なりに、平成時代の若者の特徴を挙げると、次のようになる。
○自信と誇りを失った若者:
 日本人は、戦争の責任を国家主義にあると決め付けて、国家は悪者という概念を作ってしまっていた。そこからは、愛国心が生まれてこない。国歌や国旗をないがしろにする子どもたちが育ってきた。
○目標のない若者:
 今の子どもたちは、良い学校へ入るために勉強しろという親に、尻を叩かれて勉強しているが、学校を卒業したら何をするのか、何のために学校へ行くのかという目標を持たないでやっている子どもが多いように思われる。「自分にあった仕事が見つからない。」といっている若者には、彼らにあった仕事なんか永久に見つからないと思う。自分がありついた仕事を、まず好きになること。そしてどんな苦労にも耐えること。その過程を経てこそ、その仕事が好きから愛着に変わってくる。そのほか、現在の若者を特徴付けるものに次のようなものがある。
1)加減を知らない子ども:こんなことをするとその結果がどうなるのか予測が出来ない。
2)電車の中で化粧する女性:恥ずかしさを知らないから、まともな社会生活が出来ない。
3)指示待ち人間:自主性がないから、常に受身になって創造性がない。
4)学力の低下:ゆとり教育の弊害ではない。子どもたちは基礎教科とは別のよいものが身についているはずである。学校教育では、規律をまもることや真摯に学習に取り組む意欲を高めることが重要である。家庭教育では、父母や保護者が、子どもの教育について第1義的責任を有する。
○結び:
 われわれが、愚痴っているだけでは、日本の教育も若者も変わらない。どうすればよいのかを議論するための話題提供で終わってしまったことを、われながら残念に思っている。
「いい町、いい関わり、いい未来」藤本 繁氏
 「地域とその未来」という大きく極めて大切なテーマを与えられた。平成2年から8年間の体験の中で大切にしたいと思った視点に少しふれてみる。
 自立的、創造的な成熟社会への議論も盛んであったが、一方何か自信がなく、依存して考えることをやめている。そして、ちょっと問題が起きると非難し合う。正しい情報が伝わらず、ニセ情報が横行する―このような状況も見られた。矢張り、基礎的自治体としての市町村の自治運営、さらにコミュニティーがしっかりしないと本当の課題解決は難しい。
 考えてみると私たちは、人や地域、自然、公共施設等々と様々な関わりや交流の中で支えられ、暮らしているわけだが、この関わり方が、大切で暮らしや社会や環境を良くも悪くもする。
 そこで「いい町、いい関わり、いい未来」を地域づくりのスローガンとする。それは「自立的、創造的な成熟社会」を目指すものであり、「知恵と元気のわく町づくり」である。
 そのため、@この関わり方を考え、学び合い、実践の拠点としての施設整備であり、隣接市町の状況を踏まえた特色ある施設づくりである。A行政の守備範囲を考 え、住民と行政の責任と役割分担というものを大切にする。なんでも行政の責任にするのではなく、住民、行政両サイドからよく考えてみる。B地域づくりも云うなれば住民共有の財産づくり(ハード・ソフト)といった発想も大切である。それが施設や仕組み、イベントなどに対する期待や想いを大切にすることにつながる。例えば廃棄物処理や環境づくりも、ここまでは住民が責任を持ってやりましょうという関わりが大事で、このことが地域の財産として引き継がれていく。このような取り組みの中でこそ、安全、安心と信頼のネットワークも本当のものになるのではなかろうか。
「但馬のおはなし」福田丞志氏
 昨年、但馬は「コウノトリ」と「但馬牛」で有名になりました。私は昨年1月から家庭の事情で神戸と但馬でUターンマルチハビテーションの生活をしております。
 そこでのくらしは、時間がゆったりと流れて、先人の生活体験から共に生きる知恵が多く引き継がれた習慣がいまも息づいています。このため、一つの例ですが、ご近所づきあいが深いため、一人くらしの高齢者は案外生活しやすいのです。
 但馬は、平成の市町村合併によって、1市18町から3市2町となりました。面積は兵庫県の4分の1で、20万人弱の人々が住んでいます。
 しかし、少子高齢化から少産多死時代を迎え、50年後には人口が約半分になるという予測もされております。この但馬が、なぜ気候も文化もまったく異なる神戸と同じ兵庫県となったのでしょうか。今の兵庫県が誕生したのは明治9年のことです。明治政府が意図的・作為的に播磨・但馬・淡路・丹波2郡・摂津5郡を合併させて「大兵庫県」を設置しました。当時の国家プロジェクト「神戸港の大改築」のために兵庫県の財政力を強化するため、 石高の多い飾磨県や豊岡県等を合併したといわれています。
 いま、但馬は人口低密度地域で、定住人口も減少しておりますが、都市と農村の交流が盛んになってきました。但馬は交流資源や交流の場と機会が多様で、交流の舞台づくりが着々と整えられています。
 「雪と温泉と山海の珍味」が「よう来んさった」と皆さんをお出迎えいたします。ぜひ、但馬でもう一つのくらしをしてみませんか、お待ちしています。
第4回
居留地と神戸文化
平成20年3月19日
(水)15:00〜17:00
「居留地と神戸文化」計盛哲夫氏
 いま、全国各地で"ご当地研究"が盛んです。かつての郷土史ブームを超えて、住んでいる町―自然や歴史と文化。それにゆかりの人物―をもっと知りたい、もっと学びたいという思いに突き動かされてのことでしょう。厳しいグローバリズムとバランスを取る現象かと思いたくなるほどです。
 「兵庫学」とか「神戸学」という言葉が誕生し、各大学に講座が開設され、市井の研究者の活躍ぶりは書店に並ぶ書籍の数がこのことを証明しています。
 さて、「神戸はどんな町、神戸文化とは?」と聞かれると、どうでしょうか。誰もが「文明開化を先導したハイカラで、オシャレ、エキゾチシズムに溢れた文化」と異口同音に答えるでしょう。このように神戸のイメージは、明治の開港いらいの「國際港都」なのです。昭和30年頃まで、地元の「神戸新聞」や「新港新聞」(廃刊)は、神戸の名の前に"ミナトこうべ"という枕言葉を必ず付けたものでした。
 ですから、5世紀の昔から韓国や中国との交易で栄えた港まち、平清盛の福原遷都、あるいは「北前船」の拠点という歴史的イメージは忘れられがちで、神戸開港による文明開化の鮮やかで、鮮烈なイメージばかりが先行しているからでしょうか。昨今の兵庫や神戸のご当地研究はこの点で「もう一つのバランスを取る」ものといえなくもありません。
 それはそれとして、現在の兵庫、神戸の町と文化は明治の開港によって神戸を訪れ、「外国人居留地」を舞台に自由に、縦横無尽に活躍したイギリス、ドイツ、フランス、オランダ、それにアメリカといった欧米人や中国、韓国等のアジア人たちの物語を抜きにしては神戸の歴史はたったの1ページも語れません。貿易商人をはじめとして教育者と学者、医師、建築家、宣教師にコックたち、それに日本全国から"一獲千金"を狙って集まった"ヨソもの"たちです。
 そうしたヨソものたちの名前と業績を数えだすと「居留地」、「異人館」など建築と都市、「大学」、「医療・福祉」施設、「料理」、「レジャーとスポーツ」などなど紙数がいくらあっても尽きません。現在の神戸の骨格は彼らによって築かれたのです。
 開港当時は人口約2,300人のさみしい神戸村が、いまでは約150万人の大都市に成長したのです。ですから神戸はまさに"ヨソものが築いた自由な町"なのです。かくいう私たちもほとんどすべてがヨソもので、明治以前のDNAを持ち合わせていないのですから。
 こうした思いを胸にしながら、文明開化当時の面影を伝えていまも残る居留地界隈を歩き、先人たちのロマンあふれる活躍を紐解きながら、ひとつまた一つと居留地の街角をウオッチングされてはどうでしょうか。興味は尽きることがありません。
「食品・医薬品の作業環境についての考察」中川政美氏
はじめに
清潔度の度合いは、ガラス製のペトロシャレーの内面に寒天培地を敷き、測定点で一定時間暴露させたのち恒温機内で培養させて発生しした菌の数の多い・少ないで清潔度の区分としました。なお、本日は測定データーを提示できませんので、結果の考察を項目毎に述べます。製造を行う作業環境を考えるとき、動物である人間が一番汚い。以下、作業環境・原材料の順に述べます。
1:作業員
@素手の手指は1H毎に洗浄が必要と思われるくらい微生物が湧いてくる。
A異物混入(毛髪・指、腕毛・まつげ・鼻毛・眉毛・指輪の石)がある。
夏場の作業場が暑いとき、作業衣を腕まくりすると必ず腕毛の混入が起きる。
*作業衣の表面に付着した毛髪は粘着テープ(コロコロ)での除去が効果的。
B唾液は汚い。クシャミのとき1〜3m飛ぶ。
C着衣のなかで靴下が一番汚れているので毎日交換が必要。
D作業着は襟足と腋の下が汚れるので3日毎交換(洗濯時は糊を付けない)
E作業靴は1週間毎で洗濯交換が必要。
*CDEは会社費用で実施の徹底が必要。
2:作業場
@清潔度区画を明確にする。(外気と接する倉庫・屋内の事務室・内容物が暴露していない包装室・内容物が暴露した製造室等へ順次グレードアップさせる。)
A作業靴は作業場毎に履き替えることが望ましい。
B空調機の送風の質は完全な良質と云えない。
(外気をフイルターで濾したのち温度・湿度の調節を行い各部屋へ送風されている。必要に応じて5〜30回/1H毎の換気回数の設計になっている。したがって、良質の送風を必要とする場合、室内送風孔にフイルターが必要)
C製造機械のモーター部および周辺は床面に近いこと又モーター冷却用フアンが敷設されているので汚染が激しい。
D床清掃のモップ拭きは汚染を拡大させる。したがって、モップ布を消毒液に浸けるなどの処置が必要。
E天井パネルのスキマからも落下塵があり、必要におうじて二重張りとする。
F床面から70cm高さまでの気流は汚れている。
Gその他
*朝一番の空調機の運転・作業員の入室・製造機の運転で順次浮遊塵が増える。
*エアーシヤワーは除塵効果が完全と云えない。
*滅菌機は表面のみの殺菌で完全でない、洗浄・ふき取りが効果的。
3:原材料
@合成品原料は殆ど汚れていない。
A漢方(動物臓器からの由来品・草根からの由来品)の原料は注意を要す。場合により大腸菌群が見つかることがある。補助材の澱粉・乳糖・セルロースは良い、ただし馬鈴薯澱粉は微小の黒いゴミが見つかることが有り注意を要す。
B結合材のゼラチンは、牛由来のBSE問題で使えなくなってきている。
まとめ
汚れ・臭気があるとき、微生物の存在が考えられる。日常生活において人間はわりと丈夫です。神経質に考えないこと。例えば、外出時に電車の吊り革を触っても、手の掌は5層構造であり、帰宅後に手の洗いとウガイをすることで充分と思われます。健康食品の製造は法的の厳しい規制がないのです。
第5回
姫路とその歴史
平成20年 6月15日
(日) 13:00〜15:00
「兵庫県立歴史博物館について」福井 修氏
 兵庫県立歴史博物館次長の福井氏から博物館の概要について説明を受け、キュレーターの方の案内で館内を見学しました。 
第6回
環境
平成20年 9月12日
(金)15:00〜17:00
「IPCC第4次評価報告書・GE04を研究対象としてのまとめ」渡邊雄一氏
 世界気象機関(WMO)及び国連環境機関(UNEP)により1988年に設立された国連の組織がIPCCであり、2007年に公開されたのがIPCC第4次評価報告書(AR4)である。GEO4はUNEP発行のGlobal Environment Outlook4(2007)のことである。前者は気候変動についての総合的報告書で、特徴は「気候変動の原因は人為的温室効果ガスである」とほぼ断定していることである。
一方GEO4は「環境と持続可能な発展」を主題にし、具体的には大気汚染、土壌崩壊、衛生的な水、生物多様性の危機、貧困の追放、人間の脆弱性等に対する法と管理の必要性について述べている。特に、世界中の人間がアメリカ人の様な生活をすると地球が5.3個必要であり、日本人のような生活をすると2.4個必要であるとする「エコロジカルフットプリント」という指標は、地球の自然生態系を踏みつけた人間の足跡の醜さといわれ、既に環境容量を超えた人類の生存に対する警告である。このような環境悪化の影響を深刻に受けるのは発展途上国であることを何度も述べている。「貧困の追放が地球上で先ず行われなければならない」とはGEO4は結んでいる。巷間に「地球にやさしく」という言い回しがよく聞かれるが、環境破壊の被害者は発展途上国の所得が低い人々であり「地球」そのものではないことを強調しておきたい。
IPCC第4次評価報告書は、気候変動の@自然科学的根拠 A生態系、社会、経済等各分野における影響と適応策 B対応策の3部に分かれている。今回の発表会では全体については触れず、海洋に関する以下の件を報告した。
1)さらに破壊的になる熱帯低気圧の威力
・観測やモデル化の結果から、温帯性低気圧の威力がより破壊的になることがわかった。
・海面温度は熱帯地域で摂氏0.5度上昇しただけだが、ハリケーンのエネルギーは70%も増加したと観測された。
2)加速する海面上昇
・内陸氷河や大陸氷床の溶解と海水の熱膨張による海水量の増大により海面が上昇した。
・20世紀における世界の海面上昇率は10年間あたり平均1.5〜2センチであったが、熱膨張の影響は、現時点で二酸化炭素の濃度が一定になったと仮定しても、今後1000年単位で継続する。
3)進む海洋の酸性化
・二酸化炭素は海水に直接溶け、急速に海洋の酸性化を進ませる。
・酸性化した海を元の状態に戻すには相当の時間がかかる。
・海洋酸性化は、海中の食物連鎖や生物地球科学的循環で重要な役割を果たしているサンゴなどの石灰化生物に特に脅威となる。
4)進む温暖化と海氷溶解
・過去30年間で夏季における北極の海氷面積は約20%も減少している。今世紀末までに夏季の北極海から海氷がなくなる。
また、気候変動と土壌の崩壊、生物多様性の崩壊(種の絶滅)の3者間の相互関係についての解説は説得力があった。
「環境とくらし」庄司富美子氏
はじめに 最近の食に関する不祥事
食に関する事件が続いています。賞味期限の改ざん、産地の偽装表示、等多くの不当な出来事がありました。最近も三笠グループによるかび米の売却に依る多くの被害が続出しています。消費者は物価の上昇に加えて安全、安心な食品を求めるにはどういしたら?
?食品の「安全」「安心」について
食品の「安全」とはその食品が本来の機能を発揮し、健康に不都合な作用を及ぼさないことです。ポイントとして「安全」な科学的な客観評価で「リスク」が少ないことです。「安心」は個々人が感じる心理的評価で、100人いれば100通りの安心があるといえる。
?食品衛生法
食品衛生法は、1947年に制定された法律で合成添加物の指定制など戦後の食糧難時代には画期的な法律といわれました。その後「食」をめぐる環境は変化し食生活も核家族化女性の就業率の増加などによるライフスタイルの変化に伴い加工食品、冷凍食品や外食などの利用が増加している。食事内容も欧米化し、食生活の変化に食品衛生法も改正されました。
?国際的基準(コーデックス食品規格)
1995年WTO(世界貿易機関)協定が批准されました。この協定の中にSPS協定があり、国際基準への調和を求めています。各国の食品安全基準をコーデックス食品規格で統一し食品貿易を促進したり、SPS協定により安全基準が国際的に統一されて行きますが、各国固有の食文化に主張もしていく必要があります。(例えば米の残留農薬基準が統一されても主食としている日本と、そうでない欧米とでは摂取量に大きな開きが出てきます。)
?食品表示(法律で義務付けられている)
(加工食品)・名称・原材料名(以下が含まれている場合は表示すること)食品添加物名、遺伝子組み換え食品・アレルギー物質を含む食品・内容量・消費期限または賞味期限・保存方法・製造者の氏名または名称および住所。
?食品添加物 化学的合成添加物と天然添加物
食品添加物は1995年食品衛生法の改正時に、「食品添加物はすべて指定制になりました。」「それまで使用実績のあった天然ン添加物は(既存添加物)としてとりあえず認める」「天然香料」「一般飲食物添加物」は安全性に問題がないので使用してもよいことになった。
?その他の問題
残留農薬、遺伝子組み換え、環境ホルモン、O157、BSE、科学物質の安全評価「リスクアセスメント」など。
書評『偽善エコロジー』(2008.5.30.第一刷発行)著者:武田邦彦、発行所:褐カ冬舎
  中川政美氏
はじめに
自宅で資源ゴミを分別(ペットボトル・ガラス瓶・金属缶)して出すが、パッカー車へ一括投入の収集で分別は?です。また、テレビでエコー宣伝があるが検証は?です。この疑問のとき、今年の6月に上記新刊書が発刊されました。内容の一部を紹介します。興味を持たれる方はご購読をお勧めします。
@レジ袋をやめエコバックにすると、かえって石油の消費が増える。
石油コンビナートで、使い道がなく燃やしていたオレフイン成分を残さず有効に使えるようにしたものがレジ袋で、いわば石油の”廃品”を有効に利用した優れもの。各家庭は生ゴミの処理にレジ袋を活用している。レジ袋が無くなれば別途に有料でポリエチレン袋を購入することになる。また”廃品”成分を燃やすことを再開せねばならない。さらにエコバックは、綿だけでなく貴重なBTX成分(ポリエステル)が必要で、汚れとともに買い換えると結果的に石油を多く使う。
A割り箸追放は、端材の使い道が消え、森林が荒廃する。 割り箸は「端材」から作る。森林には一ヘクタールあたり、150本の木を植え成長の過程の”間引き”で70本が生きる。材木のほとんどは角材で、円のものから四角いものをとるので半月状の部分が無駄になります。理論的に角材部分は63%にしかならず、ロスもあり、最終的に30本相当量にしかならない。割り箸追放運動のため日本で作ることができなくなり、中国から買うようになった。中国は樹木をそのまま切って日本向けの割り箸にしている。 B飲み水は一人一日1〜2リットルだからペットボトルの水を飲んでは?
世界で水道水の水が飲めるのは7ヶ国ほどです。日本は、すばらしい自然と水に恵まれている現在では一人当たり一日300リットルの水を使っている。このうちトイレに28%、風呂に24%、炊事に23%、洗濯に17%、その他8%。これらの298リットルは「おいしい水」にしなくても? Cバイオエタノールを作るのに同程度の石油を使う。
アメリカは食料として使っていたトウモロコシやオレンジ・コムギの畑を燃料用のトウモロコシ畑に替えた。日本の九州全域に当たる広大な面積です。しかし、1キロカロリーの石油を使って、1キロカロリーのトウモロコシがとれる。ブラジルはサトウキビで1キロカロリーの熱を出すバイオエタノールを作るのに0.8キロカロリーの石油が必要。(Ps;重量比で1tonのエタノールを採るのに3tonのトウモロコシが必要)
D島国ツバルは温暖化で沈んでいるのではなく地盤沈下が原因。
ツバルの近辺の海水面の上昇を測定しているハワイ大学の記録では、海水面の上昇は5センチとされています。第二次世界大戦時、アメリカ軍が来て急ごしらえの飛行場をブルドーザーで整地したところが地盤沈下しているようだ。(Ps;湿地帯・脆弱な環礁の上に大量の土砂・人口が1973年の871人→5000人に増加。家屋・病院・学校などの建設で重量オーバー。温暖化で海水面が熱膨張する。日本では約10pぐらい上がると言われている。)
まとめ
1)新刊書では、上記以外に15項目が記述されています。
2)関連事項として、世界的な水不足と食料不足が懸念されている。
3)地球温暖化運動で日本以外の国は、あまり積極的でないように思える。“ハチドリのひとしずく“ 精神での取り組みが必要と思う。
以上の話題提供でした。
「教育における環境」大竹真一氏
 環境問題についてはさまざまな側面があるが,ここでは,日本の教育,とくに数学教育における環境について考察する.
1.インドは,なぜ数学のできる国なのか?
 日本との違いはどこにあるのか?昨今,「インドの数学」がブームらしい.書店に行くとかなりの数の「インドの数学」についての書籍が出版されている.とても速く計算できる技術があるという話も聞く.二桁の掛け算の九九があるらしい.しかし,計算技術がインドの数学のレベルを高めているというわけでもなさそうである.これは,現代数学の発展を牽引してきたフランスにおいて,一般に計算が得手ではないことと比べてみると興味深い.インドが数学における先進国となったのは3つの理由がある.
@初等教育・中等教育(日本の小中高に対応する年齢である)は,最終学年において,日本よりちょうど1年進んでいる.インドの高2に対応する学年で日本の高3の数学の内容(数学V)を学び,インドの高3に対応する学年では,日本の大学では1年生で学ぶ微分積分・線形代数まで教えられている.
Aインドとアメリカが,時差が大きく,アメリカの夜中に,インドでデーターを処理することができるなど,数学,情報を産業に結びつけられる地理的環境がある.情報産業の発展は,数学を学ぶ学生においてモチベーションを高めることに寄与する.
B高校教育を受ける割合が,日本より少ないので,教育の質,生徒の意識が自ずから高い.
 日本の初等教育・中等教育における内容が,他の先進国に比して,見劣りするものであることは否めない.
2.数学と算数の違い
 カプレカー数について出席者全員でまさしく紙と鉛筆で実際に計算を進めた.内容については省略する.
3.教育課程が生徒の学力に如何に反映するか.
 高等学校の教育課程が,戦後,ほぼ10年ごとに改定されてきている.この十数年は,いわゆる「ゆとりの教育」の時代で,内容は,それ以前と比べてかなり少ないものとなっている.教える内容が少なければ学力が少ないのは,当然の帰結であるが,それ以上に問題なのは,個性重視という標語の下,初等教育・中等教育において数学の基本的な考え方を学ぶことを放棄したとも思えるような事態が起こっていることである.数学的考え方を教え学ぶことなく自由に考えよというのには無理がある.さて,話はかなりそれてきたので,教育課程が生徒の学力に如何に反映するかに戻そう.実際に,18歳の学力を毎年継続的に調べたデータがある.同一問題による学力試験で,採点はコンピュータ処理であり誤差はない.前々回の教育指導要領の改訂の年の前後で学力はどう変わったかを学力別に調べたものである.この改訂で大きく教育内容が削減され,「ゆとりの教育」となったのである.
@このデータから見られるのは単に学力の低下だけではない.平均的に見て,学力の低下は明らかといってよいのかもしれないが,その中にある変化には見過ごすことの出来ないものがある.
A上位,中上位は,大きな変動は見られない.しかし,明らかに,中位,下位にはかなりの正答率の低下が見られる.
Bこの結果は,学力低下が平均的学力低下と捉えるだけでは的を射ていないという事を意味する.上位は変わらないが下位が大きく低下している,すなわち,学力格差の増大,それも驚くべき割合での増大である.下位層は,その後の年度でも落ちた学力の回復傾向は見られない.
 問題点は,単に学力が低下したことだけではない.学習内容が減少すれば学力の低下は当然に伴うものである.むしろそれより,学習する意欲の低下にある.中位,下位はとりわけ意欲が学習に反映しやすい.意欲さえあれば,自ら学ぶ姿勢ができよう.
 現在,新教育課程の改訂期に当たって,「ゆとりの教育」の見直しがなされている.


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